「ひかりの輪」への公安調査庁の観察処分を取り消した東京地裁判決について

 9月25日、東京地方裁判所がオウム真理教後継団体「ひかりの輪」について、団体規制法に基づく観察処分を取り消すとの判決を下したとの報道がありました。

 当会としては、ひかりの輪の実態を踏まえない同判決に強い懸念を表明します。

 ひかりの輪及び上祐史浩代表は、表向きは教祖・松本智津夫死刑囚への帰依を否定し、オウム真理教をめぐる一連の事件について「反省」を口にしてはいます。しかし同時に、松本への「盲信」を反省しているだけで、オウム真理教において松本が有していたと信じられていた松本の特殊な能力等については否定しておらず、オウム時代に「マイトレーヤ正大師」であった上祐代表をトップとするオウム時代のヒエラルキーを維持した組織活動を続けています。

 「ひかりの輪」という団体のなりたち自体、アレフ内で上祐氏こそが麻原から最も信頼された後継者であるかのように吹聴することで形成されていった経緯があります。「ひかりの輪」を名乗るようになって以降も、上祐代表が信者に「シャクティパット」なるオウム時代と同様の宗教行為を行っていたこともあれば、近年においても、宗教団体であるにも関わらず「宗教ではない」と主張する欺瞞性も見せています。

 ひかりの輪は、今回の判決に関する声明文(http://www.joyu.jp/hikarinowa/news/02_1/1278.html)で〈積極的な情報開示などの、よりいっそうの改革努力を進めていくことを決意しております〉などと述べています。しかしひかりの輪は、自らが観察処分外しのために設置した「外部監査委員会」にも帳簿等をチェックさせず、重要な資金源である聖地巡り等のイベントごとの収支を公表していません。イベント参加者から「お布施」と「賠償金」を別々に徴収していながら、その収入の内訳も公表しておらず、賠償金名目で参加者から集めたお金を実際に賠償金支払いに当てているのかどうかも疑わしい状況にあります。

 団体解散を求める声に対しては、決まり文句のようにサリン被害者への賠償等を言い訳として持ち出します。しかし「聖地巡り」等の行事により明らかに通常以上の収入があったと思われる月ですら賠償額は一定であり、上祐代表自身はサリン被害者への追悼等も部下任せで真摯に取り組んではいません。被害者への賠償を第一義とした団体ではなく、被害者の存在を団体存続の口実としているにすぎないことは明らかです。

 以上の実態を踏まえれば、ひかりの輪はいまなお観察処分の対象とすべき「オウム真理教そのもの」です。前述のようなひかりの輪の欺瞞性は、表向き「社会融和路線」をアピールすることで「観察処分外し」を目指す手段の一環にほかなりません。観察処分を取り消せば、ひかりの輪が「社会融和路線」を装う必要はなくなり、表向きの体裁を整えることすらせずに悪質性を強める危険性が高いことは容易に予想できます。

 国には、裁判を継続し、このような団体について実態に即した判決が下るよう努力することを求めます。

 なお、観察処分が取り消されれば、ひかりの輪は、そのことを「自分たちは正しく安全な団体である」という宣伝の材料として、さらに多くの人々を巻き込むために利用することが予想されます。しかし仮に観察処分取り消しが確定したとしても、それは観察処分の是非をめぐる裁判所の判断にすぎず、ひかりの輪が問題のない宗教であると裁判所が認めたことを意味しません。

 報道関係者各位や、報道を目にする皆様には、くれぐれもこの点に留意して、ひかりの輪をめぐる動向に注視していただければ幸いです。

2017年10月2日
ひかりの輪脱会者友の会(インコの会)